ヘーゼン・ウィリアムス公式は、給水管や配水管などの管路で発生する摩擦損失水頭を求めるための代表的な計算式です。
水が管の中を流れるとき、管の内面との摩擦によって水のエネルギーは少しずつ失われます。
この失われるエネルギーを水頭の高さとして表したものが、摩擦損失水頭です。
つまり、ヘーゼン・ウィリアムス公式を使うと、配管の長さや管径、流量、管の状態から、どのくらい水圧が失われるのかを計算できます。
給水設計では、必要な水量を確保できるか、管径が小さすぎないか、流速が速くなりすぎていないかを確認するために使われます。
ただし、計算結果だけで設計を決めるのではなく、各自治体や水道事業者が定める設計施工基準を確認することが大切です。
この記事では、ヘーゼン・ウィリアムス公式の意味、計算式、C値の考え方、実務での注意点を初心者にもわかりやすく整理します。
| この記事で扱うこと | 内容 |
|---|---|
| 公式の意味 | 摩擦損失水頭を求める考え方 |
| 計算式 | h、I、V、Q、D、Cなどの記号の意味 |
| C値 | 管種や管内面の状態による係数 |
| 注意点 | 公式の使い分け、流速、各種損失の確認 |
この記事でわかること
- ヘーゼン・ウィリアムス公式で何を計算できるのか
- 摩擦損失水頭・動水勾配・流速の基本的な関係
- C値の意味と管種ごとの考え方
- 給水設計で公式を使うときの注意点
ヘーゼン・ウィリアムス公式は管路の摩擦損失を求める計算式
ヘーゼン・ウィリアムス公式は、管の中を水が流れるときに発生する摩擦損失水頭を求めるための公式です。
給水管や配水管では、管の長さが長くなるほど、また流量が多くなるほど、水は流れにくくなります。
その流れにくさを数値として確認するために使われるのが、摩擦損失水頭の計算です。
水圧に余裕があるように見えても、管内で損失が大きいと、末端の水栓で十分な水量が得られないことがあります。
そのため、設計段階で摩擦損失を把握しておくことは、安定した給水計画を考えるうえでとても大切です。
ヘーゼン・ウィリアムス公式で求められるもの
ヘーゼン・ウィリアムス公式では、主に摩擦損失水頭、動水勾配、管内流速を確認できます。
摩擦損失水頭は、管内を水が流れることで失われる水のエネルギーを、高さの単位で表したものです。
動水勾配は、管の長さに対してどのくらい水頭が失われるかを示す数値です。
管内流速は、管の中を水がどのくらいの速さで流れているかを示します。
この3つを確認することで、管径の選定や給水圧の検討がしやすくなります。
| 項目 | 意味 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 摩擦損失水頭 | 管内摩擦で失われる水圧分 | 末端で必要な水圧を確保するため |
| 動水勾配 | 管長に対する損失の大きさ | 流量図や設計資料と照合するため |
| 管内流速 | 管内を流れる水の速さ | 流速が過大でないか確認するため |
給水管で使われる場面
ヘーゼン・ウィリアムス公式は、比較的大きな口径の給水管や配水管の摩擦損失を求める場面で使われることが多い公式です。
自治体の給水装置工事設計施工基準などでは、口径50mm以下はウエストン公式、口径75mm以上はヘーゼン・ウィリアムス公式を用いる例が見られます。
ただし、実際の使い分けは水道事業者の基準によって異なる場合があります。
そのため、設計に使うときは、公式そのものだけでなく、対象地域の基準書を必ず確認することが大切です。
特に給水装置工事では、計算の正しさだけでなく、申請先の基準に合っていることが重要になります。
まず確認したい単位と記号
ヘーゼン・ウィリアムス公式でつまずきやすいのは、公式そのものよりも単位の扱いです。
流量はm³/sで扱う場合もあれば、実務の入力ではL/minやL/sから換算する場合もあります。
管径は呼び径ではなく、計算上は管の内径を使うことが基本です。
管長は、摩擦損失を求めたい区間の延長を入力します。
単位をそろえずに計算すると、結果が大きくずれてしまうため注意が必要です。
| 記号 | 意味 | よく使う単位 |
|---|---|---|
| h | 摩擦損失水頭 | m |
| I | 動水勾配 | m/m または ‰ |
| V | 管内平均流速 | m/s |
| Q | 流量 | m³/s |
| D | 管内径 | m |
| L | 管長 | m |
| C | 流速係数 | 無単位 |
ヘーゼン・ウィリアムス公式の計算式と意味
ヘーゼン・ウィリアムス公式は、流量、管内径、管長、流速係数から摩擦損失水頭を求める式です。
計算式だけを見ると難しく感じますが、考え方はとてもシンプルです。
流量が大きくなると損失は大きくなります。
管径が大きくなると、水が流れやすくなるため損失は小さくなります。
管が長くなると、その分だけ摩擦を受ける距離が長くなるため損失は大きくなります。
さらに、管の内面がなめらかなほど流れやすくなり、C値は大きくなります。
摩擦損失水頭を求める式
ヘーゼン・ウィリアムス公式で摩擦損失水頭を求める代表的な形は、次のように表されます。
h = 10.666 × C-1.85 × D-4.87 × Q1.85 × L
ここで、hは摩擦損失水頭、Cは流速係数、Dは管内径、Qは流量、Lは管長です。
この式で特に注目したいのは、管内径Dの指数が大きいことです。
Dは-4.87乗で効いてくるため、管径が少し変わるだけでも摩擦損失水頭は大きく変わります。
つまり、給水計画で管径選定が重要とされる理由は、計算式から見ても明らかです。
管径を小さくしすぎると、摩擦損失が急に大きくなる可能性があります。
動水勾配と流速を求める式
動水勾配を求める式は、摩擦損失水頭を管長で割る考え方です。
実務資料では、次のような形で表されることがあります。
I = 10.666 × C-1.85 × D-4.87 × Q1.85
このIに管長Lを掛けると、摩擦損失水頭hを求めることができます。
また、流速Vは流量Qと管の断面積から求めることもできます。
管の断面積が大きいほど、同じ流量でも流速は遅くなります。
反対に、管径が小さいと流速が速くなり、騒音やウォーターハンマーなどの原因になる場合があります。
| 確認項目 | 増えるとどうなるか |
|---|---|
| 流量Q | 摩擦損失水頭が大きくなりやすい |
| 管長L | 距離に比例して損失が増える |
| 管内径D | 大きくなるほど損失は小さくなりやすい |
| 流速係数C | 大きくなるほど損失は小さくなりやすい |
C値が計算結果に与える影響
C値は、管の内面がどのくらい水を流しやすいかを表す係数です。
一般的に、管の内面がなめらかで新しいほどC値は大きくなります。
C値が大きいほど、同じ流量・同じ管径でも摩擦損失水頭は小さくなります。
一方で、経年劣化やさび、付着物などによって管の内面が荒れると、水は流れにくくなります。
その場合、設計上はC値を慎重に設定する必要があります。
新設管の標準値をそのまま既設管に当てはめると、実際の損失を小さく見積もってしまう可能性があります。
ヘーゼン・ウィリアムス公式の使い方
ヘーゼン・ウィリアムス公式を使うときは、先に流量、管内径、管長、C値をそろえることが大切です。
公式だけを覚えても、入力する数値があいまいだと正しい結果にはなりません。
特に、流量の単位と管径の単位は間違えやすいポイントです。
L/minで与えられた流量をm³/sに換算する場合は、60で割り、さらに1000で割ります。
管径もmmのままではなく、mに換算して式に入れる必要があります。
こうした単位換算を丁寧に行うことが、計算ミスを減らす近道です。
計算に必要な数値をそろえる
まず、対象となる配管区間の設計流量を確認します。
次に、使用する管の内径を確認します。
このとき、呼び径と実際の内径が異なる場合があるため、製品資料や設計基準に記載された数値を確認します。
管長は、摩擦損失を求めたい区間の延長を使います。
さらに、管種や管内面の状態に応じてC値を設定します。
| 手順 | 確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1 | 流量Qを決める | L/minやL/sからm³/sへ換算する |
| 2 | 管内径Dを確認する | 呼び径ではなく内径を確認する |
| 3 | 管長Lを確認する | 計算対象区間を明確にする |
| 4 | C値を設定する | 管種や状態に合わせる |
| 5 | 摩擦損失水頭を計算する | 単位をそろえて入力する |
流量・管径・管長から摩擦損失水頭を計算する
たとえば、流量、管内径、管長、C値が決まれば、公式に代入して摩擦損失水頭を求められます。
計算の流れとしては、まず流量Qをm³/sに変換します。
次に、管内径Dをmに変換します。
そのうえで、C値と管長Lを式に入れて計算します。
計算結果として得られるhは、その配管区間で失われる水頭です。
このhが大きすぎる場合は、管径を大きくする、配管ルートを短くする、必要流量の条件を見直すなどの検討が必要になります。
ヘーゼン・ウィリアムス公式は、管径や流量を変えたときに損失がどのように変わるかを比較するのにも便利です。
計算後に確認したい流速と余裕
摩擦損失水頭を計算したら、あわせて管内流速も確認します。
流速が速すぎると、騒音、振動、配管への負担、水撃作用などのリスクが高まる場合があります。
給水装置の設計資料では、管内流速を過大にしないよう、2m/s以下を目安としている例もあります。
ただし、実際の許容値や考え方は、用途や事業者基準によって異なります。
そのため、計算結果を見て終わりにするのではなく、設計条件と照らし合わせて安全側に確認することが大切です。
水理計算では、摩擦損失水頭、流速、必要残圧をセットで見ると判断しやすくなります。
C値の目安と管種ごとの考え方
C値は、ヘーゼン・ウィリアムス公式の中で管の流れやすさを表す重要な係数です。
C値が大きいほど、管内面がなめらかで水が流れやすい状態を示します。
反対に、C値が小さいほど、管内面の抵抗が大きく、摩擦損失水頭も大きくなります。
そのため、C値をどのように設定するかによって、計算結果は変わります。
特に既設管の検討では、管種だけでなく、使用年数や管内面の状態を考慮することが大切です。
C値は管内面の状態を表す係数
C値は、管の材質や内面の粗さに関係します。
塩化ビニル管のように内面が比較的なめらかな管では、C値は大きく設定されることがあります。
一方で、鋳鉄管や鋼管などでは、管内面の状態によってC値の設定に注意が必要です。
また、同じ管種でも、新設時と長期間使用した後では、管内の状態が変わる可能性があります。
そのため、C値は単なる暗記ではなく、管の状態をどのように評価するかという視点で見ることが大切です。
| 管の状態 | C値の考え方 | 設計上の見方 |
|---|---|---|
| 内面がなめらかな新設管 | 比較的大きい値になりやすい | 標準値を確認して設定する |
| 一般的な金属管 | 管種により差がある | 基準表やメーカー資料を確認する |
| 経年した既設管 | 小さめに見る必要がある場合がある | 現場状況や管理者資料を確認する |
新設管と既設管では見方が変わる
新設管の場合は、設計基準やメーカー資料に示された標準的なC値を参考にしやすいです。
しかし、既設管の場合は、経年による内面の変化を考慮する必要があります。
管内にさびや付着物があると、見かけ上の管内径が小さくなったり、内面の抵抗が大きくなったりします。
その結果、実際の摩擦損失は計算より大きくなる可能性があります。
古い配管の能力を検討する場合は、新設管と同じ感覚でC値を設定しないよう注意が必要です。
C値を決めるときの注意点
C値を決めるときは、まず対象地域の設計施工基準に記載された数値を確認します。
次に、管種や製品仕様、管の使用状況を確認します。
基準書に代表値がある場合でも、設計条件によっては安全側の検討が必要になることがあります。
また、水道事業者への申請を伴う場合は、事前協議で使用するC値の考え方を確認しておくと安心です。
C値は計算結果に直結するため、根拠のない数値を入れないことが大切です。
ヘーゼン・ウィリアムス公式を使うときの注意点
ヘーゼン・ウィリアムス公式は便利な計算式ですが、すべての給水管にそのまま使えるわけではありません。
管径や用途、自治体の基準によっては、別の公式を使うことがあります。
また、摩擦損失水頭だけを計算しても、給水計画全体を判断するには不十分です。
実際の配管では、メーター、水栓、バルブ、エルボ、チーズなどの継手でも損失が発生します。
そのため、ヘーゼン・ウィリアムス公式で求めた値は、全体検討の一部として扱うことが大切です。
小口径管では別の公式が使われることがある
給水装置の水理計算では、口径によって使用する公式が分けられていることがあります。
多くの設計施工基準では、口径50mm以下ではウエストン公式、口径75mm以上ではヘーゼン・ウィリアムス公式を用いる例が見られます。
これは、公式ごとに想定している適用範囲や実務上の扱いが異なるためです。
そのため、単に「摩擦損失を求めたいからヘーゼン・ウィリアムス公式を使う」と考えるのではなく、対象管径に合った公式を選ぶ必要があります。
特に申請図書や水理計算書を作成する場合は、提出先のルールに合わせることが重要です。
継手・水栓・メーターの損失も忘れない
管路で発生する損失は、直管部分の摩擦損失だけではありません。
メーター、止水栓、逆止弁、水栓、曲がり部分、分岐部分などでも水頭損失が発生します。
これらは局部損失や各種損失として扱われます。
直管部分の摩擦損失だけを見ていると、実際に必要な水圧を小さく見積もってしまう可能性があります。
水理計算では、直管部分の摩擦損失に加えて、器具類や継手類の損失を合計して確認することが大切です。
| 損失が発生する部分 | 確認したいこと |
|---|---|
| 直管部分 | ヘーゼン・ウィリアムス公式などで摩擦損失を計算する |
| 水道メーター | メーター口径ごとの損失を確認する |
| バルブ・水栓 | 器具資料や基準図表を確認する |
| エルボ・チーズなど | 直管換算長や局部損失として考慮する |
自治体や水道事業者の基準を優先する
ヘーゼン・ウィリアムス公式の計算方法は広く使われていますが、給水装置工事では自治体や水道事業者の基準が優先されます。
同じ公式を使っていても、流量の設定方法、C値、管径の扱い、必要残圧、流速の目安などが異なることがあります。
そのため、実務で使う場合は、必ず対象地域の最新の基準書を確認してください。
特に、直結給水、増圧給水、受水槽方式などの給水方式が関係する場合は、事前協議が必要になることもあります。
計算結果はあくまで判断材料であり、最終的な設計判断は基準書、現場条件、管理者協議を踏まえて行うことが大切です。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- ヘーゼン・ウィリアムス公式は、管路の摩擦損失水頭を求める代表的な公式です。
- 摩擦損失水頭は、管内を水が流れるときに失われる水のエネルギーを高さで表したものです。
- 公式では、流量Q、管内径D、管長L、流速係数Cを使って損失を計算します。
- 管径Dは計算結果への影響が大きく、少しの違いでも摩擦損失が変わりやすいです。
- C値は管内面の流れやすさを表す係数で、管種や状態によって考え方が変わります。
- 新設管と既設管では、同じ管種でもC値の見方を変える必要がある場合があります。
- 流量や管径の単位をそろえないと、計算結果が大きくずれる可能性があります。
- 給水管の水理計算では、流速が過大になっていないかもあわせて確認します。
- 直管部分だけでなく、メーター、バルブ、継手、水栓などの損失も考慮します。
- 実務では、自治体や水道事業者の設計施工基準を必ず優先して確認します。
ヘーゼン・ウィリアムス公式は、給水管や配水管の摩擦損失を把握するうえでとても便利な計算式です。
ただし、公式に数値を入れるだけで設計が完了するわけではありません。
流量、管内径、管長、C値の根拠を確認し、さらに流速や各種損失、必要残圧まで含めて見ることが大切です。
特に給水装置工事では、地域ごとの基準や水道事業者の考え方が設計に大きく関係します。
計算結果を安全側に確認しながら、基準書と現場条件に合った水理計算を行うことが、安定した給水計画につながります。

